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2015年7月24日NEWS RELEASE No.1510

ヒガシマル醬油株式会社 研究所

おいしい減塩料理の基本「かるしお八方だし」には淡口醤油が必須!

~8月25日(火) 日本調理科学会にて発表~

ヒガシマル醬油株式会社(本社:兵庫県たつの市、社長:竹内 宏平)は、国立循環器病研究センター臨床栄養部と共同で行った研究で、「おいしい減塩料理の基本になるかるしお八方だしには淡口醤油が必須の調味料である」ことを実証し、8月24日から開催される日本調理科学会平成27年度大会にて発表いたします。

研究の経緯

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、以下「国循」)では、「かるしお」=「塩を軽く使って素材のうま味を引き出す減塩の新しい考え方」を提唱しています。また、国循の「かるしおレシピ」は、日本一おいしい病院食として注目を集めています。
国循がすすめる「かるしおレシピ」では、煮物や下茹でなど様々な調理に「かるしお八方だし」が使用されていますが、その中には淡口醤油が必須調味料として含まれています。なぜ淡口醤油が必要なのか?当社はこれまで淡口醤油パラドックス※について研究してきましたが、今回はさらに一歩進めて、「かるしお八方だし」に淡口醤油を使う意義を国循と共同研究することになりました。

※淡口醤油パラドックス
淡口醤油の塩分は濃口よりもやや高めですが、煮物などの調理には、淡口を使う方が濃口を使うよりも低塩でだしのきいたおいしい料理に仕上がります。その機構として、
1. 淡口醤油は味の基本である塩味を感じやすい
2. 淡口醤油はだし風味を感じやすい
3. 淡口醤油はだしの減塩効果を引き出す
という3点を科学的に解明しました。この「淡口醤油パラドックス(逆説)」は、平成26年度「日本醤油技術賞(研究・開発の部)」を受賞しています。

研究概要

1. 淡口醤油と濃口醤油でかるしお八方だしを作り、SD法*による官能評価を行った結果、全ての調理メニューで、淡口醤油を用いた方が濃口醤油を用いるよりも「素材の味が生きている」という項目で有意差が見られました。かるしおレシピは、素材のうま味を引き出す京料理の考え方がベースとなっており、京料理を支え続けてきた淡口醤油だからこそ「かるしお八方だし」に必要であることが示唆されました。
*SD法(semantic differential法):「好き-嫌い」などの反対語の対からなる評価尺度を複数用いて対象の評価を行う方法で、各評価尺度に対して5段階や7段階の両極性の尺度で複数の被験者に回答してもらう評価法。

2. かるしお八方だしは醤油とだしに砂糖の甘味を加えることで味をまとめています。当社では、既に淡口醤油が塩味やだし風味について濃口醤油よりも低い濃度で識別できることを報告してきましたが、新たに、甘味についても濃口醤油より低い濃度で感じることが明らかになりました。

 

以上2点より淡口醤油は素材の味を引き立て、塩味やだし風味、甘味を感じやすいため減塩でも満足感のある味わいに仕上がることが明らかになりました。故に、かるしお八方だしには淡口醤油が必須であることが実証されました。(詳細は要旨を参照)

学会発表要旨

1.学会の名称 日本調理科学会平成27年度大会
2.発表日 平成27年8月25日(火)
3.場所 静岡県立大学
4.標題 「かるしお八方だしを構成する淡口醤油の必要性」
5.発表者 河北雄一郎(ヒガシマル醬油株式会社 研究所)

研究概要

標題:かるしお八方だしを構成する淡口醤油の必要性
河北雄一郎1、新居早也佳1、橋本博子1、永谷基浩1、村井一人2、竹田博幸3
(1:ヒガシマル醬油 研究所、2:国立循環器病研究センター 臨床栄養部、3:前国立循環器病研究センター)
1.目 的
国立循環器病研究センターの減塩食「かるしおレシピ」は素材のうま味を引き出す京料理の考え方をベースとして、減塩でも美味しく食べられるように工夫されている。レシピの基本はだし汁1.3Lに淡口醤油50ml、砂糖30g、塩6gを合わせた八方だしで、煮物から下茹でなど様々な調理に利用できる。一般的な八方だしには淡口醤油が多用されるが、かるしお八方だしにも淡口醤油が必須の調味料として使用されている。そこで本研究では、かるしお八方だしに淡口醤油を使う意義を解明することを目的とした。
2.方 法
減塩調理に醤油が及ぼす影響を評価するため、淡口醤油と濃口醤油各々で調製した八方だしで、長芋の煮物、大根とうす揚げの煮物、ぶり大根、鯛の煮付け、治部煮、筑前煮を同条件で調理し、SD法による官能評価を行った。既に我々は塩味とだし風味について、淡口醤油中の方が濃口醤油中に比べ低い濃度で識別できることを報告してきたが、甘味は検討できていなかったため、本報告では甘味を識別できる濃度を調査した。淡口醤油と濃口醤油を用いてうどんだしを調製し、砂糖濃度1%を中心としてその濃度差を変えて2点識別試験片側検定にて甘味の閾値※を比較した。
※閾値(いきち):ある反応を起こさせる最低の刺激量という意味。 (甘味の閾値が低い:甘味の違いが微妙な差まで判別できるということ。)
3.結 果
減塩調理時の官能評価では全てのメニューで淡口醤油が濃口醤油よりも「素材の味が生きる」項目で有意差が見られた(P<0.001)。また、淡口醤油では砂糖濃度1%と1.25%の差を有意水準0.1%で識別できたが、濃口醤油では識別できなかった。以上より、淡口醤油は、塩味やだし風味に加えて、甘味を感じやすいことが明らかとなり、素材の味を引き立て、料理を低塩で美味しく仕上げることができる点で、かるしお八方だしに必須であることが示唆された。

お問い合せ先

ヒガシマル醤油㈱ お客様相談室 TEL:0791-63-4635 FAX:0791-63-4585
(TEL受付時間 9:00~17:00 土・日・祝日・年末年始・夏期休暇を除く)