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うすくち龍野醤油資料館
たつの市は瀬戸内海に面し、南北に揖保川が流れる自然豊かな山紫水明の地です。播磨平野で育った良質な小麦、米、山裾でとれる大豆、赤穂の塩、これら豊かな原料に恵まれ、鉄分の少ない軟水である揖保川の伏流水と相まって淡口醤油はこの地で生まれました。
「うすくち龍野醤油資料館」はJR本竜野駅から徒歩20分ほどのところにあり、播磨の小京都と呼ばれ、今もなお城下町の面影が残る町並みのなかに位置します。1932年(昭和7年)に建てられた元ヒガシマル醤油本社社屋を利用し、全国初の醤油資料館として1979年(昭和54年)11月に開館しました。建物は2008年(平成20年)に国登録有形文化財に登録され、木造建築ですが外観はレンガ造り風のルネッサンス様式を呈し、「兵庫県景観形成重要建造物」、「地域活性化に役立つ近代化産業遺産」にも認定されております。
館内では15分ほどの「その風土と淡口醤油造りと匠の技」を放映し、「兵庫県重要有形民俗文化財」に指定されている江戸時代からの醤油醸造用具や資料など約2400点を展示。そのひとつひとつに先人の知恵と工夫を感じ取っていただけます。
資料館敷地内には山下摩起画伯の作品を展示した醤油蔵ギャラリーもございます。
うすくち龍野醤油資料館館長 長井 孝雄
醤油の起源は古代までさかのぼることができますが、産業として現在の主産地、龍野・野田・銚子・小豆島などに成立したのは16世紀のことです。
天正年間(1580年頃)円尾孫右衛門長村、横山五郎兵衛宗信、片岡治兵衛らによってはじめられた龍野醤油は、うすくちを特色として栄えてきました。
4世紀にわたる歳月の間に、京・大阪の文化に育まれ洗練されつつ、日本人の食生活に深くしみこんだこの調味料は、いまや和食だけでなく、洋食、中華にも味わいを加えています。
山と川に抱かれたこの美しい人里に、代々醤油をつくり継いできた先人の工夫や愛情は、古い道具や文書にひっそりと息づいています。
片岡家創業なる菊一醤油造合資会社の本社として建てられ、浅井醤油合名会社との合併後、龍野醤油(株)となり、のちヒガシマル醤油(株)と改称した後も本社であったこの建物に、同社のみならず、ひろく龍野醤油協同組合各社の保管になる資料を中心に展示して、醤油のふるさとを偲ぶよすがといたしました。