醤油多糖類SPSとビタミンCの併用による抗アレルギー作用の増強○松下裕昭、古林万木夫(ヒガシマル醤油・研究所)

【目的】 これまでに我々は、醤油に含まれる機能性成分 SPS(醤油多糖類、Shoyu polysaccharides)に注目し、動物試験およびヒト臨床試験によって抗アレルギー作用および免疫調節機能を明らかにしてきた。今回、 SPS とビタミン C の併用がマウスおよびヒトにおける抗アレルギー作用にどの様な影響を及ぼすのか検討した。

【方法及び結果】 6 週齢の雄性 BALB/c マウスを 4 群に分け、基本飼料を対照にして SPS を 0.05%、ビタミン C を 0.05%、0.05%の SPS と 0.05%のビタミン C を添加した飼料をそれぞれ自由摂取させた。6 日後、全ての試験群で対照群に比べ、マウス受身皮膚アナフィラキシー反応による耳介浮腫が有意に抑制されており、併用群は各単独群に比べ有意に耳介浮腫が抑制されていた。さらに、グルコース消費量を指標としたマウス腹腔内マクロファージの活性化を評価したところ、ビタミン C 単独および SPS とビタミン C の併用群で腹腔内マクロファージによるグルコース消費量の上昇が観察された。続いて、スギ花粉症患者を対象にしたアレルギー症状の抑制効果を、7 週間のヒト臨床試験により評価した。720 mg/日の SPS と 360 mg/日のビタミン C を併用摂取した群(n=10)では、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、喉の痛みなどの症状の改善が見られ、SPS 摂取群(n=10)に比べて改善効果が高かった。
 これまで、ビタミン C は 1 日数グラムの摂取による抗アレルギー効果が報告されていたが、本研究により、醤油の機能性成分 SPS と数百ミリグラムと少量のビタミン C を併用することで、抗アレルギー作用の増強効果が発揮されることが明らかとなった。


Key words: seasonal allergic rhinitis, Shoyu polysaccharides, soy sauce, vitamin C
Enhanced anti-allergic activities of Shoyu polysaccharides in the dose combination with vitamin C.
Hiroaki Matsushita, Makio Kobayashi (Research Laboratory, Higashimaru Shoyu Co., Ltd)

◆研究発表概要
学会名:第 63 回日本生物工学会大会
発表日:2011年9月26日~28日
場 所:東京農工大学 小金井キャンパス

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